線量上限について 9/18改訂

東日本大震災

この記事は、線量上限について、私の推論を書いたものです。

放射線を積極的に利用したいと考えている学者・医者の立場として、過去の原子力爆弾の被曝統計から推測して、自然放射線を除外した被曝量は100mSvまでは健康被害が発生しないとしている。
ただし、原子力爆弾は短い時間での被曝であり、低線量を長期にわたって日本人が被曝した場合については、十分な臨床データが存在しないため明確ではない。

過去のデータから、100mSvを上限とした場合、被曝は年ごとにリセットされるのではなく、累積データになるので期間がないと対策の目安にはならない。
この100mSvには、時間単位がないので、どれくらいの期間において100mSvを上限とするのか?1年なのか10年なのか100年なのか?
一生において健康的であろうとすると、100mSv/生涯が上限になり、平均寿命は日本の場合、男:79.0歳、女:86.2歳になるが、100歳を超える人もいるので、計算上の期間を100年とすると、
100mSv/100年 = 1mSv/年
となる。
毎年確実に人工的な被ばくを1mSvするような環境は原発事故のない通常の生活では起こりえないレベルの確率であり、原発事故によりこの値を超えるような場所については、除染あるいは避難することを原則とすることを条件として、この値を上限とする。

年間被曝線量上限の考え方は、実際にはもっと複雑な経緯で決まっているのかと思いますが、基本的な考え方としてはこうなっているのでは?

低線量を長期にわたって被曝した場合については、十分な臨床データが存在しないが、
(1)これまでの知見で考えるなら、「1mSv/年を上限としておくことが安全策と考えられる」という考え方
(2)十分な臨床データがないため、現時点までに分かっているデータから見て予防的に考えて、「どんな低線量でも危険がある」という二つの考え方
が同時に存在することになる。京都大学助教の小出さんの考え方は(2)になると思います。
つまり、明確な結論が存在しないため、学者によって線量の上限に関して言う事が異なるということになり、一般の人が混乱するという結果になっている。

私の個人的な感想として、世界の高線量地域のデータも含めて考えると、1mSv/年を一つの上限値としておくのは、福島原発からの汚染が広まっている現時点において妥当な考え方だと思います。
しかし、人それぞれ置かれている状況や立場は異なるので(避難地域に指定された場所にいた・一次産業に従事している・子供、幼児がいる・50歳以上の家族しかいない など)、本来ならば一律に上限を定めるのではなく、人それぞれの状況や立場を踏まえて上限は定められるべきだと思っています。

それに対して、暫定基準の20mSv/年では5年で上限値に達する数値であり、同じ場所に住み続けるには、十分な除染を行って早急に1mSv/年まで線量を下げる対策が必要ですし、除染が十分できないのであれば、その場所から退避することを考える必要があります。

子供の場合は被曝感度が高いのと残存寿命が長いため、1mSv/年未満のいずれかの数値が妥当だと思います。
子供の上限などについては、独身であるためあまり調べが進んでいません。むしろ子供がいる家庭の方が書かれているブログなどの方が情報量は多いと思います。

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