前回の富士山ワークから2年が経過していますが、その間に富士山が世界遺産登録された結果、登録されている神社などでは整備が進められています。
世界遺産に登録されて良かったこともありますが、残念なこともあります。
登録されている神社は以下の八社で、富士吉田市の北口本宮浅間神社は登山道と共に富士山域の中に含まれ、他の浅間神社/大社は単立で登録されています。
富士山域-北口本宮浅間神社(富士吉田市)*
富士山本宮浅間大社(富士宮市)*
山宮浅間神社(富士宮市)*
村山浅間神社(富士宮市)
須山浅間神社(裾野市)*
須走浅間神社(駿東郡小山町)*
河口浅間神社(都留郡富士河口湖町)
冨士御室浅間神社(都留郡富士河口湖町)
富士山ワークでは、*印の付いている神社を参拝しますが、当日のコース取りによっては参拝しない場合もあります。
今回富士山ワークの下見で、北口本宮浅間神社+大塚丘 → 須走浅間神社 → 須山浅間神社 → 村山浅間神社 → 富士山本宮浅間大社 → 富知神社と廻ってきました。
世界遺産に登録されて良かったことは、駐車場とトイレや案内看板・境内の整備が進んでいる事です。
例えば、村山浅間神社境内の大日堂は、かつてはトタン屋根にトタンの壁という寂しい状態でしたが、
今回の下見で行ってみると、歴史がある古い材木のうち使えるものは極力使った上で、本堂創建の頃の姿に綺麗に修復されていました。
一方で、残念なのは、本来は神と出会う場所である「場」が、世界遺産ということで単なる観光資源や文化財と見られてしまうことで、それが最も顕著に表れているのが、山宮浅間神社です。
下の写真は、山宮神社が良い状態だった2011年の夏至に境内から写した富士山。
世界遺産登録以前は、階段を上がった場所にある境内に自由に入ることができ、地元の人と思われる祀り事をしている形跡もあり、地元の人に大切にされているのが良くわかる場所でした。
そして、何よりも「場」が非常に良く、これほどの場であれば、通常なら神社の中でも聖域として立ち入り禁止になっているのが普通です。日本全国を探しても、自由に入ることが出来る場として、これほどの場所はなかなか無いというくらいの良い場でした。
先日下見に行った時に、境内へ上がる階段の手前から写したのがこちら。
ブルーシートが掛かっているのは、発掘調査の為です。また上がったところの瑞垣の周辺も伐採整備がされています。
門扉には「史跡保護の為、これより先への立入を禁止します」と張り紙があり、扉にも鍵が掛かって自由に入れない状態になっています。
それだけなら、場を守る為には致し方ないと思うのですが、瑞垣の周辺整備の仕方を見ると、社寺建築に関わるような人達の神仏へ想いがある工事の仕方ではなく、ただの工事現場と化していました。瑞垣の間から中に手を入れて、場の空気を感じ取ってみると、以前のような聖地感覚が薄くなってしまっており、聖地から(ただの)文化財に変容してしまっている感じがします。
これは、この場の整備に直接的にかかわっている人たちが、神仏を信仰している人ではなく、場を観光資源や文化財としか見ていないことから起きているという印象です。
これは、先の立ち入り禁止の問い合わせ先が、浅間大社ではなく、富士宮市教育委員会 文化課 学術文化財係となっているのを見てもそれが分ります。
仏像などでも言えることですが、仏像は本来寺の中にあって拝む対象ですから、拝まれてこそ活きて来るのですが、それを博物館に移設してしまうと、仏像は単なる彫刻になってしまい力を失います。
世界遺産登録されたのだから、文化財としてより多くの人に見られるのと、本来の信仰の場として少ない人たちが来るのは、どちらの方が良いのかは難しいところです。
山宮と対になっていると言える場所に、北口本宮浅間神社の大塚丘があります。
こちらは、訪れる人もなく以前通りの良い場所なので、ここはそのままであって欲しいと思います。
(参考)
世界遺産 富士山 > 構成資産紹介 > 構成資産一覧
http://www.fujisan-3776.jp/kouseishisan/ichiran.html
コメント
そうなのですよ。
世界遺産になってから、どこも整備が進んでいるのは良いことですが、残念なこともいっぱいあります。
行くたびに雰囲気が変わっていますね。
須山の浅間さんで地元民のお勧め。
階段上がった左側の灯籠の穴が♡型なので、御賽銭箱の前に立って♡型の中に入った写真を撮る。
勝手に縁結びの写真と言ってます(笑)
> ミケニャンコさん
記事では書いてない場所の話もありますが、確かに色々と変わっていますね。
須山のハートは、こちらですね。
https://en-light.net/wp-content/uploads/2015/09/IMG_0537.jpg