今年の新年参拝では、毘沙門天が祀られている多聞院にも行きました。
毘沙門天が祀られているお堂は、通常であれば毘沙門天堂になるのですが(政府・官庁系ではこう呼ばれます)、毘沙門天というインド発祥の神が祀られているので、こちらの正式名称はお寺にありながら、毘沙門天宮という神社系の名前になります。
いつもはお堂の扉が閉まっているのですが、新年はお堂の扉が開いているので、武田信玄の守り本尊であり戦陣に赴く時にはいつも兜の中に納めていたという毘沙門天像のエネルギーが良く判りました。
エネルギーからは、一般的に言われている武神という側面と、武神とは異なる他の側面も感じたので、色々と調べてみると・・・
毘沙門天の元は、ヒンドゥー教のヴァイシュラヴァナであり、ヴァイシュラヴァナの音写が毘沙門天となっています。さらに、ヴァイシュラヴァナの前身は財宝神・クベーラであるので、毘沙門天とは、「財宝神である」ということです。
前身のクベーラは財宝の守護神であるので、外敵から財宝を守るという働きがあり、毘沙門天が四天王に組み入れられたことで、財宝神に武神という働きが加わったようです。
戦国時代における毘沙門天としては、毘沙門天の生まれ変わりと称する上杉謙信が有名ですが、もう一方の雄である、毘沙門天を兜にいだく武田信玄との関係は、どちらも毘沙門天の守護になります。
上杉と武田の間の毘沙門天の働きを武神すなわち敵に勝つ働きでなく、財宝すなわち領地・領民の守護神としての働きとすれば、12年5回にもおよぶ川中島の戦いが最後は両者退陣という形に落ち着いたのも、わかる気がしますね。
毘沙門天を本尊とする代表的な寺院の一つに東京神楽坂の善国寺(リンク)があります。
善国寺では、 「平成25年からご開帳日に限り、100年ぶりに「百足(むかで)ひめこばん」を頒布することといたしました。」とあり、百足姫小判(むかでひめこばん)は、財宝のみならず様々な開運の効果があると言われます。
ところで、なぜ百足(むかで)の小判なのかというと、毘沙門天の眷属あるいは神使いは通常は、寅(虎)とされており、それは、毘沙門天が寅年、寅の月、寅の日、寅の刻に生誕されたからと言われていますが、その大本は百足とされています。
それは、ヴァイシュラヴァナの前身である財宝神クベーラから来ており、地下の資源を採掘するトンネルの形つまり、本坑とそれにつながる支坑が百足の形に似ているからと言われます。その後、百足の足が多いと(沢山の)「お足が付く」という意味でお金が沢山入るという意味にも発展していったようです。
ということで、今年の1月15日(日)は寅の日、開帳日であり、御利益のある百足姫小判(むかでひめこばん)が頒布(千円)される日になります。
百足姫小判はその名の通り、小判に百足(むかで)が表されたものなので、そういった虫系に苦手な人にはお勧めできませんが、100年ぶり頒布される小判なので、受けてみる価値があります。
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