坂東三十三観音霊場を廻るのが始まったのと同じ時期に、般若心経を勉強し始めたのですが、以前から疑問に思っていたのが、日本の般若心経はもともとサンスクリット語であったものを中国語訳したものを音読みすることの意味はどれだけあるのかということです。
むかし、学校の漢詩の教育でも同じ疑問を持ったのだが、漢文というのは中国語で書かれたものなので、中国語で読んで、中国語で理解するのであればごく自然な流れなのに、レ点を打ったりして無理やり日本語化しているところにすごく違和感があったため、結局漢詩は好きになれませんでした。
そういった疑問は次の二冊を読むことで、解消されたので、ちょっと書いておきます。
(1)般若心経の世界 見て、聴いて安らぐ
http://product.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=31317507
般若心経の中村元氏による解釈と、般若心経が伝わった道ごとの読経をCDで聞く
(2)ダライ・ラマ般若心経入門
http://product.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=31351183
般若心経の根本的解釈をダライ・ラマが語る
まず最初に買ったのが中村元氏(合掌)の(1)の本ですが、この本の巻末には、パーリー語、中国語、韓国語のそれぞれの般若心経があり、最後に中村氏による日本語訳があります。日本語訳の文章は格調も高く、般若心経の意味が損なわれることなく、わかりやすく書かれているので、お勧めです。
さらに、この本のCDを聞いていると気がつくのが、
「ガテー ガテー パーラガテー パーラサンガテー ボーディ スヴァーハー」
というところは、いずれの言語も翻訳することなくそのまま詠まれているということで、般若心経のうちの真言と言える部分はこのくだりで、他の部分はこの真言を支えている文章であるということです。
次に買ったのが、ダライ・ラマ猊下の(2)の本です。この本では、猊下がチベット仏教の系統にあることから、チベット語の般若心経をベースに解説を試みています。ここで語られているのは、般若心経のもつ深い意味合いなので、多少回りくどい説明になる部分もありますが、般若心経の意味合いについて深い立場から書かれています。
そのなかで、般若心経を意味も理解しないでただ唱えるのは意味がないこと。と言っており、まさに私が疑問に思っていたことの回答がありました。
とはいえ、般若心経は簡単に本当の理解に到達することは出来ない深さを持っていることも一方で確かです。
上記の二冊は、本質に迫ろうと正面から取り組んだ本であり、表面的な安易な解説ではないので、難しい部分もあるが、本質的な理解を得ようとしている人にはお勧めです。
コメント