超常現象についても研究している心理療法家の笠原敏雄さんの本をいくつか読んでいるところです。通常の心理学では、心は脳の活動によるものとされていますが、それにとどまらず、本質的に人の心を見つめ研究されているので、私のような仕事をしている人が読んでも大変参考になります。ただし、一般的な常識を超えて深く見ているので、読みやすい本ではありません。
普通何かを学ぶときや、何かを理解するときは、無意識的に一般常識の上に知識や経験を積み上げて行くということを行います。ところが、人の心というのは、深く見て行くと一般常識では理解が難しい「基盤」が存在し、その基盤の上に一般常識というものが作られていることが分ります。
笠原さんの研究は、その「基盤」とは何なのかを明らかにしようとするものです。
笠原さんの考えている心の三層構造の図が「幸せを拒む病 71p」にあるので、引用します。
意識が、表層意識(図では意識)と無意識(潜在意識)に分れるというのは、一般的に知られていますが、無意識はさらに内心と本心に分れる、そして人の本質は本心にあります。
本心は、人としての万能ともいうべき能力や高邁な人格などが潜んでいるのですが、それらが意識に昇るかどうかを内心がコントロールしているというものです。
ここからは、心理学ではなくスピリチュアルの視点から、この構造を見てみると・・・
スピリチュアルにおいて、人の本質すなわち源泉や真我などと呼ばれるのは、無限であり幸福であることが知られています。つまり、人の本質というのは、永遠の至福にあるわけです。
ところが、人々の人生を見ると、幸福もあれば不幸もあるというドラマが繰り返されていますが、それらは内心が創り上げており、意識として現れていると考えるなら、この、[本心]-[内心]-[意識]という構造とちょうど符号します。
そして、この内心の働きには、人の本質である、無限や幸福というものを、
・否定する働き
・肯定する働き
の二つがあります。
そうすることで、人には「幸福ではない」という意識が形作られ、そこから何かを得ることで「幸福になる」という人生のドラマが始まるのです。
この内心の二つの働きは、自分の内側にある「天使」と「悪魔」という表現がされることもあります。
つまり、人の心の中には、「幸福になりたいという意識」がある一方で、目の前に幸福が現れた時、「幸福ではないことを選択するという意識」の二つの働きが存在しているのです。この相反する心の動きが元になって、この世界は様々なドラマが展開しているのです。
これは、通常で言われている一般常識である、「人は誰もが幸せになりたい」とは、相反しているように思えます。しかし、スピリチュアルカウンセリングをしている中で、ABの二つの選択肢があり「A方が良い事は分っているのに、Aを選択できず、B選択してしまう」というケースを時々見かけます。
具体的に書くと分りやすくなるのですが、書くと内容がプライバシーにも関わることなので書くことはできませんが、人生を振り返ると、誰しもBを選択してしまうという経験があります。その時に、「なぜBを選択したのか、理由が分らないけれど選択してしまった。」ということになっています。
それは、内心の働きとして、「幸福ではないことを選択するという意識」が発動したためであり、そこには理由が存在しません。
つまり、なぜかBを選択した時、
(1)Bを選択する理由が(意識の中に)ある
(2)Bを選択する理由がない
の二つのケースがあり、二番目の場合、自分の心をいくら探っても理由を見つけることはできません。それは内心の反応として、ただ起きたのです。
その2に続く(リンク)
【書籍について】
この記事で取り上げている心の三層構造、本心・内心について一般向けに書かれている本がこちらです。著者も、はじめにで書いていますが、内容ゆえに読みやすい本ではありません。無意識的にせよ思い込みを持って読めば、勘違いすら起こす可能性があります。
なので、読む時は自分が持っている常識を一旦脇に置いて、先入観を持たず素直に読むことが必要です。
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