「三峯神社」を検索していると、「三峰神社」という名前で書かれているページやブログを見つけることが多いですが、神社の名称としては「三峯神社」が正しい名称になります。
でもなぜ、三峰神社と書いている人が多いのでしょうか?
以下では、区分するため、峯を「上山みね」、峰を「左山みね」と呼ぶことにします。
●「三峯」と「三峰」
三峯神社は秩父市三峰にあります。
社名は三峯なのに、地名は三峰になります。
なぜ使っている漢字が、社名では「三峯(上山みね)」、地名では「三峰(左山みね)」と異なるのでしょうか?
●地名で使われる漢字
漢字を使う時には通常、当用漢字(昭和21年告示 1850字)や常用漢字(平成22年告示2136字)が使われます。
常用漢字に掲載されているのは、峰(左山みね)のみ。峯(上山みね)は掲載されていません。
なので、公的な名称である市町村名では、峰(左山みね)が使われます。そのため、地名は三峰(左山みね)になります。(鹿嶋市など一部例外もある)
●本字と異字体
漢和辞典で調べると、見出し字としては常用漢字の峰(左山みね)が使われていますが、峰のページを見ると、峯(上山みね)が「本字」とされています。
つまり、峯(上山みね)の方が古くて、峰(左山みね)は「異字体」として後年出て来たということです。
なので、峯(上山みね)と、峰(左山みね)どちらも同じ意味を持つ漢字ということになります。
●古くは峯、新しくは峰
歴史的に古い神社やお寺の名称には、本字の峯(上山みね)が使われていることが多いです。ただし、戦後の神社再編において、峯(上山みね)から峰(左山みね)に改訂している社寺も多くあります。
また、社寺は宗教法人になりますが、戦後の宗教法人登録時に、峯(上山みね)を使う神社もあれば、峰(左山みね)も出てきており、結果として両方の漢字が混在しています。
そういうことで、峯(上山みね)と峰(左山みね)のどちらでも間違いではないということになり、社寺として正式名称はともかく、一般の人が神社の名称でどちらを使うのかあまりこだわりはないようです。
また、Googleなどの検索エンジンでは、異字体を同字として扱っているので、峯(上山みね)と峰(左山みね)のどちらでも概ね同じ結果になります。
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