16日には、政府がステップ2を完了したという声明を公表し、避難地域の一部避難解をするという話がありますが、放射線の半減期をみると事態はそう簡単ではないことが分かります。
以下の表は、セシウムの半減期を元に理論上の計算をしたもので、今回はセシウム134(半減期約2年)と137(半減期約30年)がほぼ同数なので、最初の30年では半減ではなく、四分の一に低減しますが、それ以降は30年で半減となります。
この表で見たときに、福島の人たちが故郷に帰ることができるのをどの線量にすべきかということが議論になりますが、ここではワールドワイドの線量をベースに考えてみます。
ヨーロッパなどにおいては、0.14-0.25μSv/hという地域に長年人が住んでいることもあり、線量のベースの考え方は日本とは差があります。これは、ヨーロッパ製の放射線カウンターの仕様を見ていても感じることですが、アラーム設定はおおむね0.30μSv/h以上となっています。これはヨーロッパにおける自然放射線量を考慮した結果だと思いますので、少し低めということで、0.25μSv/hで考えてみます。といってもこの線量はイタリアの首都であるローマの通常自然線量の値です。
なお、ここではあくまでも概算なので、外部被爆のみを考慮しており、内部被ばくについては考慮していませんが、内部被ばくを考慮すると以下で書いている年数はさらに長期化することになります。
0.25μSv/h以下は、その土地に居住することに特に問題がないと考えたとすると、現在の福島市の線量は色々とありますが、平均を1μSv/hと考えたときに、その土地に子供たちが住んでも大丈夫と本当に言えるのは、30年経ってからということになります。
さらに、避難地域になっている5μSv/hの土地においては60年以上、強制的な避難地域になっている10μSv/hの土地においては100年を超えることが予想されます。
ここに掲げた数値はあくまでも計算上のものであり、除染などによって年数に違いは出るかと思いますが、それにしても少なくとも数十年というスパンになることが言えると思います。
また、除染については、色々な問題があり、実効的な対策ではないということが、チェルノブイリにおいて知られていることです。なので、除染に多額の費用を掛けたとしても、その効果は限定的であるというのが、チェルノブリにおける経験です。
これが通常の火力発電所の火災であれば、鎮火して温度が下がればその場所に立ち入って復興するための作業を開始することができます。しかし、原子力発電所でいったん大きな事故が発生すると、少なくとも数十年間はその場所に立ち入ることすらできないという、甚大な被害が発生することになり、これは災害からの復旧・復興を考えたときに、他の自然災害とは桁違いの事態が発生するということを表しています。
それは、地域の自然も、農林水産業も、商業・工業も、街も、そして故郷も、非常に長期間に渡って破壊されてしまうことを意味しています。
そして、もう一方では日本が必要とする総電力量は水力・火力・自然エネルギーで十分に賄うことができることが電力会社との利害関係が無い人たちによって証明されています。それでも原子力発電というものが必要なのでしょうか?
上記は計算上の話ではありますが、福島の人たちのことを考えると、関東に住んでいる自分たちにできる事は何なのかを問いかける結果になります。
コメント
効率的で安価、安全な、生態系も考慮した除染の
技術が発見されればよいですね。
ノーベル賞ものかもしれませんが。
今いろいろな人たちが
それを見つけようと頑張っているのだと思います。
発見されたとしても
それが原発の存在を肯定する根拠には
もちろんなりません。