現在我々が使っている暦(こよみ)はグレゴリオ暦という太陽暦ですが、グレゴリオ暦は、暦の精度のみを求めて作られたことから、季節の移り変わりを暦に反映させていません。
一方アジア地域では季節の移り変わりを知るための暦として、太陰太陽暦が長らく使われていました。地域によっては、グレゴリオ暦と太陰太陽暦を併用しているところもあり、中国の旧正月などがその典型です。
近代に入って、太陰太陽暦から太陽暦であるグレゴリオ暦に改暦したため、太陰太陽暦は現在では、旧暦と呼ばれていますが、地域によっては農暦すなわち農業のための暦として運用されています。
太陰太陽暦においては、冬至を含む月を11月と定義されています。これは季節の移り変わり、特に気温の変化を暦に反映させており、1月はおおむね立春の月となり、それまでの冬の寒さから、春めいてくる時期になります。新年を新春と呼んだり、新年を迎えるのを迎春と呼ぶのは、ここから来ています。
19年に一度、11月1日が冬至になることがあり、これを朔旦冬至(さくたんとうじ)と呼んでいます。朔旦とは、一日(ついたち)のことで、朔旦冬至は、一日が冬至になるという意味です。
現代では、暦は精度が高いので、19年ごとに朔旦冬至が来るということは当たり前のように感じられますが、暦を使い始めた古代においては、暦の精度がそれほど高くないため、19年後に正確に朔旦冬至になるということは暦が高い精度を保っているということで、非常に価値がある事でした。
そして、この19年(正確には19年と7か月)のサイクルを、中国の暦では「章」と呼んでいました。2013年は、出雲大社と伊勢神宮の遷宮年でしたが、伊勢神宮の遷宮が20年ごと、出雲大社の遷宮が60年ごとに決められた時の年数の基本がこの「章」であるとも言われており、暦の重要な区切りでもあります。
2014年は、元旦の1月1日が新月で始まり、冬至の12月22日が新月となるという19年に一度の年であり、19年という一つのサイクル(章)の始まりの年になります。
(参考文献)
ウィキペディア > 冬至
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%AC%E8%87%B3
日刊☆こよみのページ > 朔旦冬至(さくたんとうじ)
http://koyomi.vis.ne.jp/doc/mlwa/201310120.htm
佐治天文台 > 天文セミナー 第113回 『朔旦冬至』『日照権』
http://www.saji.city.tottori.lg.jp/saji103/tayori/tayori146/seminar.htm
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