世界各地に神話がありますが、なかでも国の神話というのは注意する必要があります。
神話というのは、事実を元に「人」が書いた創作話であり、事実と人による創作が入り混じっているというのが現実です。
神話に書かれていることは、全てが真実でもなく、全てが事実でもありません。これは、ギリシャ神話でも日本の神話(古事記、日本書紀)でも、他の国の神話でも同じです。
神話は、概ねその当時の権力者が命じて纏めさせています。なので、事実のうち、権力者の都合の良い話を中心に据えて記述されるということになります。
日本の古事記・日本書紀についても同じです。時の権力者が自分が正統な権力者であることを、世の中にアピールするために製作するので、歴史を正確に記述しているものではありません。
日本では、大きく分けると、出雲の勢力と、日向の勢力が、覇権を争っていた時代がありました。初期は出雲の勢力が、大和(現在の奈良)の土地を開拓していたのですが、やがて日向が権力を握るようになり、大和を治めるようになっていきました。
そのため、大和の土地に後から入っていった日向の勢力としては、自分達が正統な権力者であることを国の内外にアピールする必要があるので、古事記(国内向け)と日本書紀(海外向け)という、神話を創作したということです。
なので、古事記・日本書紀は、時の権力者に都合が良いように物語が創られて行きます。
そこでは、日向の勢力が正統な権力であること、一方で出雲の勢力は、日向から見て下に位置する勢力として描かれます。本来は、両者は対等な立場として、覇権を競ってきたのですが、神話ではその事実は描かれません。
つまり、神話というのは、事実を元にした創作話であり、歴史的な事実を正確に記述したものではないことです。そのため、神話を見るときには、誰がどのような経緯・思惑でそれを取りまとめ行ったのかを注視することが大切です。
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