STAP細胞問題について様々な報道がなされていますが、先端科学における論文の位置づけを知らないで書いている報道が多いので、ここに書いておきます。
先端科学において、論文を出した時点では、あくまでも仮説として扱われます。
多くの追試によって、確認された時点で、論文が正しいと評価されるのが普通です。
STAP細胞が存在するのかどうかについては、現時点では追試の結果による結論がまだ出ていません。それゆえに、理研は今後追試を行うというスタンスを採っています。
結論が出ていないので、現時点では、結論ではなく、論文の内容が問題になります。中でも、追試における再現性がポイントです。
先端科学における、新しい発見においては、追試するための環境(設備、人、資金など)を整えるのがかならずしも容易ではないため、他の研究者による追試が失敗するのは、普通に見られることです。今回のSTAP細胞においても、理屈は単純でも、それを追試するのに、必要な追試における研究者の特別な技量を必要とするということがあります。(これはiPS細胞でも同じでした)
そのため、論文が正しいかどうかを証明するのに、年単位の時間を必要とすることは、珍しいことではありません。
つまり、STAP細胞が存在するかどうかは、今後の追試によって証明されることです。
そういうことで、STAP細胞問題については、論文が科学界の厳しい批評に耐えられる内容ではなかったというのが、一番の問題点になりますが、多くのメディアでは、論文に問題がある=STAP細胞はウソ という論調で書いていますが、これは先端科学に関する報道おいて、正しい姿勢ではありません。
STAP細胞が存在するのかどうかは、これからの追試による検証が必要です。しかし論文の内容について、色々と指摘されるような問題点があったのは事実で、それらを考えると、研究成果が事実かどうかは今後の追試によるものとして、「論文をまとめるにおいて、研究者として未熟であった」というのが、もっとも的を得た表現だと思います。
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