今回の誤報については、緊急地震速報が一つではなく、二種類あることが原因となって起きたので簡単に説明しておきます。
1.一般向けの緊急地震速報
放送局や携帯電話向けの緊急地震速報では、地震計が地震を感知した場合、地震計の誤動作ではないことを確認するために、二か所以上の地震計で地震波を検出していることを確認した上で、緊急地震速報が発令されます。
2.特定事業者向けの緊急地震速報
電力会社や鉄道会社など、自社でも地震計を設置しており地震発生の時間や規模を自社でも確認できるような事業者向けには、地震による災害・事故防止といった観点から速報性を重視しているので、地震波を一か所でも検出すると、ただちに緊急地震速報が発令されます。
今回鉄道が緊急地震速報を受信して止まりましたが、これは乗客の安全を優先しているためです。
3.今回の緊急地震速報
今回は、富津の地震計一か所のみで、地震波を検出(実際には落雷によるノイズ)しており、二か所以上で地震波を検出していないので、一般向けの緊急地震速報は発令されませんでした。
一方、特定事業者向けの緊急地震速報は、速報性を重視するため富津の地震計一か所のみで観測された地震波を元に発令されました。
4.スマートフォン・アプリなどの緊急地震速報
スマートフォン・アプリの”ゆれくるコール”や、”ウェザーニュース”のメール配信、ツィッターの緊急地震速報bot、防災科学技術研究所の”新強震モニタ”などでは、上記「2」の特定事業者向けの緊急地震速報を使用しています。
そのため、一か所の地震計の誤作動であった地震波データを元に計算した、
M9.1 深さ10km 最大予想震度7
をそのまま配信することになってしまい、今回の誤報が発生しています。
特定事業者向けの緊急地震速報は、本来の目的では自社でも地震計を設置しており受けた情報を自社でも確認できるような事業者向けだったのですが、気象情報会社(ゆれくるコール、ウェザーニュースなど)や一般のツィッター向けにも配信したために、今回の誤報騒ぎが発生してしまいました。
そういう背景があるため、対策が取られるまでは、落雷などによる誤報の緊急地震速報が出る可能性があります。
確実性を重視する放送局や携帯電話向けと、速報性を重視する特定事業者向けの区分は、設定した当社は妥当であったと思いますが、スマートフォン・アプリや気象情報会社のメール配信向けの緊急地震速報については、今後見直すことが必要になりそうです。
5.この先の緊急地震速報
誤報の緊急地震速報が出る可能性があるとは言え、緊急地震速報が出た時は自分の身の安全確保を第一に行うことが大切です。
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