神楽坂の代表的な神社というと、赤城神社です。
赤城神社の本宮は群馬の赤城山の神社になります。
群馬の赤城神社の歴史を調べてみると、赤城山のふもとの赤城神社(里宮)と、赤城山の湖畔にある赤城神社(奥宮)の双方で、どちらが元の神社なのかの論争があるようです。
ここでは、そういった論争からは離れて、純粋に赤城神社について語っておきます。
神楽坂の赤城神社は最近立て直しされましたが、旧赤城神社本殿と新赤城神社本殿では明確な違いがあり、写真を見ればその違いが分かります。
旧社殿の赤城神社は、赤城山山頂に位置する赤城神社奥宮を模したものでした。
1.神楽坂赤城神社 旧社殿
2.群馬赤城神社 奥宮
一方で、新しい赤城神社は、赤城山のふもとに位置する里宮の神社を模したものになりました。こちらも写真を見れば、模したのが一目でわかりますね。
3.神楽坂赤城神社 新社殿
4.群馬赤城神社 里宮
5.神楽坂赤城神社 狛犬
一見すると、今風のデザインにも見えますが、実は古い狛犬の形式を復元したものです。
境内の説明看板:
赤城神社の狛犬
江戸時代、加賀白山犬とよばれて流行りましたが残っている物はわずかです。
型や表情はシンプルでスフィンクスに似ていますが胸を張り力がみなぎっています。
高天原からみなさまのお供をして来たような表情で澄まして座っていますが前肢は力強く全体に緊張感がみなぎっています。
6.神楽坂 赤城神社 本殿・拝殿
拝殿は、ガラス張りとなっていて、いかにも現代風に一見見えますが、拝殿の古い形式を現代風にアレンジしてあります。
というのも、古くは神社は本殿(写真奥)だけがあって、拝殿はありませんでしたが、本殿前で祀りごとを行うにあたって、雨の場合などは不都合があるので、本殿前に柱と屋根だけという拝殿が作られるようになりましが、その後拝殿もしっかりした建物になって行ったのですが、この神社では、その古い形式である柱と屋根だけの古式の形式をたもちつつ、風雨をしのぐためにガラス張りという形をとっています。
さらに、本殿に向かって螢雪天神がありますが、そこは下が通路になっており、空中社殿のようになっていますが、こちらもかつての出雲大社が非常に背の高い建築で、空中社殿ともいえるような形式を持っていましたので、それにならっているのではないかと思います。
季刊大林 > 古代出雲大社本殿の復元
旧 http://www.obayashi.co.jp/kikan_obayashi/izumo/p01.html
https://www.obayashi.co.jp/kikan_obayashi/detail/kikan_27_idea.html
上記で書いたように、きちんと神社の歴史を踏まえた設計になっており、色々と調査をした結果を踏まえたものになっているのだと思います。
また、敷地内右側の賃貸マンションについても、手前の立木や、建物の角度などがうまく調整されているので、言われなければ気にならないという、うまい設計になっていますし、神社全体についても高台をさらに少しかさ上げすることで、後方にある住宅も隠れて、神社のみが空の下にあるかのように見える構成も大したものです。かなり、神社とか建築に詳しく、力量がある人が設計したのが分かります。現代における地域神社再生のお手本と言っても良いと思います。
と思って、後日調べてみたら、世界的建築家の隈研吾氏が設計の監修者となっているとのことで、氏は神社の近くに住まいしていることから、監修を引き受けたそうです。なるほどという感じです。
隈研吾 ウィキペディア
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