放射線量測定器 RADEX RD1503 の精度・誤差、性能

東日本大震災

放射線に限らず、測定器というのは、完全な数値を測定することはできないもので、必ず何パーセントかの測定誤差があります。

RADEX RD1503 の精度・誤差について、製造メーカーの仕様書(リンク)には、

Reproducibility of indications (at confidential probability 0.95), where D is a dose rate in μSv/h %  15+6/D

とあります。

これは、95%信頼区間というもので、100回測定すると、95回はその範囲の中に納まる(5回はこれ以上の誤差が生じる可能性がある)というもので、測定精度あるいは測定誤差を表しています。つまり、測定値Dに対して、15+6/D[%]の誤差をがあるというのものです。
(同じメーカーのRD1706(リンク)では、7+6/Dとなり、GM管を二本搭載しているためか、誤差率が低くなります。)

これは、RD1503に問題があるわけではなく、どのような測定器にも誤差があります。数十万もするような高価な放射線測定器はこの誤差が少ないというだけです。

放射線測定器の性能を気にするひともおられるようですが、性能(=精度・誤差)と測定器の価格というのは、粗悪品は別として、きちんと作られているものであれば、相関関係があり、性能(=精度・誤差)を一桁上げると、概ねその製品の価格も一桁上がるという関係にあります。なので、値段と性能(=精度・誤差)は、相関があるということが言えます。

RD1503の精度・誤差の計算値について、分かりやすくするために、表にしてみました。(ちょっと長いです)

測定値というのが、実際の放射線量になり、RD1503の表示パネル上に表示される数値は、最小値から最大値の間になります。計算は1.00μSv/hまで行っているのですが、ここでは誤差・精度を考えるので、0.3μSv/hまでを掲載しています。

ここでは、あくまでも計算上ということになりますが、0.05-0.07μSv/hの最小値を見ると0以下の数値になってしまいます。誤差率も100%を超えています。

日本の平均的な自然放射線量が0.05μSv/hですから、これくらいの低放射線量では、RD1503はまったく不正確な数値を表示してしまうということです。一般にこういった測定器の場合、リスク重視で誤差を高い方に振っていくような設計になるので、実際には高い方のデータが表示されることが多くなります。

そのため、RD1503を都内などで使用すると、実際の値は0.07μSv/hなのに、表示される数値が0.10~0.15μSv/hになっているということが発生してしまいます。ネット上に掲載されているRD1503の測定数値を見ても、0.10μSv/hより低いデータが殆ど見られないというのもこの計算結果を見ると納得します。

また、以前の記事でも書いていますが、GM管の仕様が0.14μSv/h以上で有効ということになるので、0.14μSv/hより低い数値が出ている場合、それは正確な測定値を表してはいない。ただし、低放射線量であることは確認できますから、事実上は測定器ではなくアラーム機器ととらえておいた方がいいと思います。

では、どれくらいの測定値であれば数値をある程度信頼できるのかというと、誤差率として、30%ぐらいが目安になると思います。そうすると、測定値が0.25μSv/h以上となり、これは、RD1503の測定結果が、東京のような低放射線量の地域ではかなり誤差が大きいのに対して、福島などの地域では比較的正確な数値が得られているという結果とも合致します。

ということで、RD1503の数値の見方については、

~ 0.15μSv/h : 数値は不正確だが、低放射線量であることを表している
0.15 ~ 0.25μSv/h : 放射線量が高いか低いかの目安になる
0.25μSv/h ~ : 概ね正確な数値を表している

と、三段階に分けて見ておくことが必要かと思います。また、これは、同じGM管を搭載しているほかの測定器でも同様と考えておいた方がいいでしょう。

こういった事情については、RADEX RD1503の設計開発された、ロシア地域のモスクワの自然放射線量は0.17~0.20μSv/hであり、ロシアは総じて日本よりも自然線量が高いということからくる仕様であり、0.15μSv/h以下を正確に測定する必要がない、ということであると思われます。

つまり、そもそもは自然放射線量が高目のロシア地域向けに開発された製品を、自然放射線量が低い日本で使うことから生じる事柄であるので、これはRD1503に問題があるのではなく、そもそもがロシア向けの製品を日本で使う場合は、そういった事情を加味して使うことが必要であるということです。

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