日本の位置するポジション

色々な話題

以下は、経済の話なので、ちょっと難しい話になりますが・・・
日本という国の国力について、日本人よりも中国人の方が正確に把握しているところがあります。
以下は、引用が長いですが、人民日報・日本語版(人民網日本語版)の記事の引用です。
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■中日経済の実力差 専門家が分析
中国社会科学院(社会科学アカデミー)日本研究所の張季風研究員はこのほど、中国と日本との経済力についての比較分析を行い、「中国の経済規模は日本により一層近づいたが、国内総生産(GDP)の一人当たり平均や経済の質という点からみると、両国の間には大きな開きがある」との見方を示した。「経済参考報」が伝えた。
▽中日間に存在する主な開き
中日両国間の経済力を比較することは非常に複雑な作業で、比較する際の視点や比較する側面が異なれば、もたらされる結果も異なってくる。たとえば現在の中国の沿海地域、すなわち上海、北京、深センなどの都市建設レベル、市民の生活水準は日本に近づいており、宇宙航空技術の分野や外貨準備では中国は日本を追い抜いてもいるが、より多くの分野で中国は日本に遅れを取っている。
(1)マクロ経済の面をみると、日本の現代的な経済制度、金融制度、法律システム、現代型企業制度などは相当に整い、成熟したものであり、早くも1960年代に社会全体をカバーする年金制度や医療保健システムが形成されている。現在は財政上の困難さにより日本の年金制度には一連の問題が発生しているが、その基礎は揺らいでいない。一方、中国の現代的な経済制度は建設や整備が進められている段階にあり、医療や年金などの社会保証制度はスタート地点に立ったばかりで、社会全体をカバーするレベルに達するにはなお時間がかかるとみられる。
(2)発展段階の面をみると、日本は早くも1980年代にポスト工業化の段階に突入し、都市化率は現在70%を超え、都市と農村との間や地域間にはほとんど格差がみられず、国内市場は飽和状態にある。中国は現在まだ工業化の初期から中期の段階にあり、都市化率はわずか46%で、都市・農村間や地域間には大きな格差が存在する。中国農民の購買力は大変低く、広大な農村市場がまだ完全に形成されたとはいえない。
(3)産業構造の面をみると、日本はすでに先進国型の産業構造を形成しており、生産額構造や雇用構造も先進国型になっている。第一次産業が占める割合はすでに5%を割り込み、第三次産業の割合が60%を超えようとしている。一方、中国では今なお農業人口が約50%を占め、農村人口は総人口の約60%を占める。
(4)成長モデルの面からみると、現在、中国の成長モデルは比較的粗放型であり、経済成長は主に設備投資や輸出の牽引作用に頼っている。日本は1970年代初期には工業化の目標を達成し、成熟に向かう段階に足を踏み入れ、「大量生産、大量消費」の粗放型モデルを放棄した。
(5)企業の面からみると、1980年代に日本の企業は相当成熟し、トヨタ、日産、日立、東芝、松下(現パナソニック)、新日鐵といった世界トップクラスの企業を擁するに至った。多数の中小企業を含む日本企業は、多くのコア技術を掌握し、世界的なブランドを数多く生み出した。日本企業と欧米企業とを比較するとほとんど差がみられず、特にロボット、半導体、家電製品、自動車などでは日本は欧米を超えてさえいる。一方、中国の現状をみると、世界レベルの企業は極めて少なく、世界的なブランドは生まれてもいない。特に中国企業には独自のコア技術が極端に欠けており、企業は大きいことは大きいが強くはない。
日本企業は付加価値の高い研究開発分野や販売分野で絶対的な優位にあるが、中国企業が優位を占めるのは付加価値の低い生産・組立分野でだけだ。日本の輸出製品は研究開発から生産、販売まですべて日本企業により行われ、利益をほぼ100%獲得することが可能だ。一方、中国の輸出製品の約60%は外資系企業が生産したものであり、輸出製品の重要部品はその多くを輸入に頼っている。またハイエンド製品であればあるほど、重要部品の輸入依存度が高くなる。中国企業が獲得する利益は少なく、人件費しかまかなえない企業が相当数ある。
(6)公害問題の面をみると、日本は長期にわたり高度成長を追い求めた結果、環境破壊や公害の拡大を招き、1970年代初期には世界を震撼させた「四大公害訴訟」が起きた。中国の現在の環境状況は楽観できず、かつての日本よりもさらに悪い状況にあるともいえる。1980年中期以来、日本には目立った環境問題はみられなくなった。(編集KS)
「人民網日本語版」2009年6月19日
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■中日経済力比較「日本の優位点は?」専門家が分析
中国社会科学院(社会科学アカデミー)日本研究所の張季風研究員はこのほど、中国と日本との経済力についての比較分析を行い、「日本は10年にわたる低迷期を経たが、経済成長を推進する資金、技術、人材(労働力)という三つの基本的要素はまったく弱まっておらず、むしろ強まっている部分さえある。国際金融危機が日本経済に与えた影響は非常に大きいが、日本の実力が目立って弱まったということはない」との見方を示した。「経済参考報」が伝えた。
▽日本の主な優位点
(1)単位GDPのエネルギー消費量が世界最少
2004年に日本が消費した一次エネルギー量は石油換算で4億3千万トンに達し、世界にエネルギー消費量全体の約4.7%を占めた。米国は20億5千万トンで世界最大のエネルギー消費国となり、中国は12億6千万トンだった。一人当たり平均エネルギー消費量を計算すると、日本は米国のわずか49.5%、カナダの40%であり、ドイツ、フランス、英国をも下回る。同年の日本の国内総生産(GDP)は4兆6千億ドルで、世界のGDP全体の約11%を占めた。すなわち同年の日本は、世界の第一次エネルギー消費量の4.7%から世界のGDPの11%を生み出したことになる。
また同年の日本の二酸化炭素(CO2)排出量は約12億7200万トンで、世界の排出量全体の約4.8%を占め、世界4位のCO2排出国となった。だが国際的な比較によると、日本のCO2排出量は米国のわずか21.7%、ロシアの68%だ。特に一人当たりのCO2排出量や単位GDP(GDP1万元)当たりのCO2排出量では、日本はこうした国をはるかに下回った。単位GDP当たりのエネルギー消費量が少なく、排気ガスや廃棄物の排出量も比較的少ない一方で、省エネ技術は世界のトップレベルにある。こうしたことは日本が今後、世界の環境大国になる上での土台になる。
(2)対外資産の大国
日本は30年以上にわたり貿易黒字大国の地位を保っている。03年末の時点で、日本の輸出額は米国とドイツに次ぐ世界3位になった。04年には中国が3位に浮上し、日本は4位だった。06年の日本の対外輸出額は6499億ドルで世界4位となり、順位は下がったものの、日本の貿易黒字は引き続き高い水準にあって04年は1103億ドルに達した。06年は日本円の値下がりなどが原因で680億ドルに減少した。
06年の政府の移転支出(サービス貿易収支、投資収益、政府支援などを含む)を含む経常収支をみると、日本の貿易黒字は1700億ドルに達し、中国に次ぐ世界2位の黒字国となった。世界1位の貿易赤字国である米国は、経常収支からみた同年の貿易赤字が8567億ドルに上っている。
現在、日本は世界で唯一の国際収支が黒字の国であり、1981年以来この状態が続いている。07年の対外純資産は250兆円(約2兆5千億ドル)で他の先進国の対外資産を大きく上回り、17年連続で世界最大の債権国の地位を保った。
外貨準備をみると、06年まで日本はずっと世界一の外貨準備保有国だった。06年には中国に次いで世界2位となり、08年9月現在の保有額は9959億ドルに達した。また日本には半年分の石油の備蓄や、ニッケル、クロム、コバルト、モリブデン、バナジウム、マンガン、インジウム、プラチナ、レアメタルなどの戦略的物資の備蓄があり、実際これらは一種の物資としての外貨準備であり、外貨準備よりも一層戦略的な意義を備えたものだといえる。
(3)研究開発投資と技術革新力が絶えず向上
日本は20世紀末に初めて科学技術をめぐる5カ年計画「科学技術基本計画」(第1期科学技術基本計画)を立案し、1999年には「科学技術創造立国」の実現という戦略を提起し、以後、政府は研究開発への投資を拡大してきた。
2001年には第2期科学技術基本計画を打ち出し、5年間の政府投資は21兆円に上って第1期計画より約40%増加した。
06年には第3期科学技術基本計画を打ち出し、この間の政府投資は25兆円に達し、政府の研究開発投資の対GDP比は毎年約3.1%の水準を保った。
日本は第1期計画の中で、ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料の4つの分野で、基礎研究を強化しなくてはならないとの見方を打ち出した。第2期、第3期計画でもこの4分野は引き続き重点研究分野とされた。現在、これらの分野での研究成果が徐々に生産力や競争力に結びつき始めている。
02年以来、日本は技術貿易では輸出が輸入を上回る状態が続いている。特許取得率は一貫して世界トップで、研究開発投資やハイテク輸出はいずれも世界2位だ。日本の製造業企業はそれぞれ独自のコア技術を擁しており、このことが日本企業が世界で強い競争力を保っている根本的な原因とみられる。日本企業は製造業分野で、特に半導体、集積回路、液晶技術、ライフサイエンス、環境などの分野で世界のトップレベルにある。
(4)その他の方面での実力
ここ数年来、名目所得は上昇していないものの、デフレ効果で日本国民の実際の所得はそれほど下がってはいない。物価が下がり、日本国民の実物消費は引き続き高い水準にある。日本国民が受けることのできる社会保障や福利厚生はなお世界トップクラスであり、日本は依然として世界で最も豊かな国の一つだ。
社会インフラの面をみると、日本には高速道路、新幹線、水上輸送、航空輸送が連携する現代型の高速交通システムや物流輸送システムがある。これを土台として、24時間営業のコンビニエンスストアを核とした緻密な流通ネットワークが構築されており、このネットワークは電子商取引発展のハード面での重要な土台にもなっている。02年以来、日本の社会インフラ、生産インフラは米国に次ぐ世界2位の地位を保っている。(編集KS)
「人民網日本語版」2009年6月19日
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どうでしょうか?
日本の新聞をみると、日本の経済情勢について、悲観的な記事が多いのですが、それとはずいぶん違った論調になっています。
世界が日本を見たとき、そこに見える姿というのは、この記事に近いものだと思います。
世界的な経済を見ても、今後は欧米ではなく、アジアとくに中国・インドが中心的な役割を持っており、現実に貿易を見ても、中国・インドが重要な貿易先になっているのが現状ですが、マスコミの情報と言えば欧米中心です。
なので、自分自身の認識を現在の世界情勢に近づけるには、中国やインドのメディア情報を見ることが大切です。
人民網日本語版--People's Daily Online
http://j.people.com.cn/
人民網日本語版というのは、あくまでも中国政府のニュースサイトなので、その情報を鵜呑みするのは良くないですが、上記に引用した記事のように、良い分析をしている記事もあります。
情報がどういった立場(政府なのか、政治なのか、経済なのか)をきちんと読み分けして読むのであれば、中国の現状に関する良い情報源に成りえます。

コメント

  1. 白隠 より:

    正直、目からウロコでした。
    こういう見方もできるのですね。日本人て、やっぱりネガティヴ志向なんでしょうね。

  2. 秋月 より:

    リンク参考にさせて頂きます。
    今後、印中とも大都市から地方へと豊かさが回って行くと国内消費が爆発し長期的な発展が期待出来ますね。
    一方、日本は更に上の技術を目指す必要が。
    医療…バイオ技術、情報通信、観光産業、環境技術
    それらの産業育成、職業教育が大切かと思います。
    地理的にもアジアゲートウェイとして南北アメリカとを結ぶ重要な位置にいますが、東アジア近隣国に追い抜かれつつあり、政策的に頑張らねばならないように思います。

  3. 八雲 より:

    白隠さん
    ネガティヴ志向を表すのに、自虐史観という言葉があります。
    日本人は相手の人に対して、自らを控え目にすることを美徳としてきたところがありますが、それが相手の国レベルにまでそのまま適用しているみたいですね。
    秋月さん
    日本は、かつてアメリカやヨーロッパに対して、それらの国々に適応してきたように、インド・中国などのBIRICsにいかに適応するかが、国の活力を決めてしまうところがあります。
    最近の先端企業もそうですが、技術的に高度なものを目指すのも大事ですが、一方でこれまで以上に安価で良質なものを作る能力も必要とされています。
    車だと、インド・タタのナノに代表されるような、製品づくりですね。

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