放射線量測定器 RADEX RD1503 の有効範囲

東日本大震災

RADEX RD1503 に使用されている、放射線を測定するガイガーミュラ管(以下GM管)の有効範囲について書いておきます。

RADEX RD1503で使われているGM管ですが、SBM20-1という、ウクライナ(旧ソ連)製のものが使われています。このGM管の仕様は以下の通りになります。

らっぷ屋 > ガイガーミュラー管 > GM管 ソ連製 SBM-20
http://www.wrap-ya.com/shop/index.php?main_page=product_info&cPath=16&products_id=37

Sovtube.com
http://sovtube.com/index.php?page=shop.product_details&flypage=&product_id=651&category_id=52&vmcchk=1&option=com_virtuemart&Itemid=94

上記の仕様データのうち、注目するポイントは、こちらです。

Working range (mR/h) 0.014 - 144

これは、このGM管が有効な放射線量の範囲を示しています。こちらのデータでは単位がmR(ミリ・レム)になっていますが、1 Sv = 100 remで換算できます。
なので、このGM管が有効な測定範囲は、0.14μSv/h以上になります。

ということで、RADEX RD1503では、GM管の仕様から、0.14μSv/h以上の線量において正確なデータを確認することができます。ところが、RADEX RD1503の製品仕様において、測定範囲が0.05μSv/h以上になっていますが、このような低い放射線レベルでは正確な数値を計測することはできません。
なので、この製品においては、誤差を考慮すると、0.15μSv/h以上の空間線量がある場所においては、きちんと測定できると思いますが、それ未満の空間線量では、GM管の有効範囲以下になってしまいます。

なので、RADEX RD1503の測定結果を見るときに注意が必要で、誤差を考慮すると空間線量0.15μSv/h以下のそデータについては、GM管の測定範囲を外れているので、正しい線量を測定できていません。

また、同じSBM-20を使用しているRADEX RD1706、ECOTEST社のTERRA-Pなどについても同様です。TERRA-Pについては、測定範囲が0.1μSv/h以上となっているのですが、やはりこちらの場合でも、0.15μSv/h以上が正確な値になっているとみておいたほうが良いかと思います。

以前ニュースでモスクワの自然放射線量は0.17~0.20μSv/hであるという話がありました。

YOL > 東京の放射線量はモスクワの半分…露調査
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110415-OYT1T00975.htm

最低線量が0.17μSv/hの地域で使うことを想定しているのであれば、0.14μSv/h~ というのは妥当な仕様です。日本で使うのであれば、もっと低い値から測定できるものを使う必要がありますね。

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GM管の仕様の説明ですが、電子工学を学んでいない人にはわかりにくいかと思うので、補足しておきます。
GM管を使った放射線量測定器の構造をブロック図で書くと以下のようになります。

上図の各ブロックを説明すると、
(1)GM管 ・・・ 放射線を検出し、電気パルスに変換する
(2)測定回路 ・・・ GM管が出す電気パルスを測定する
(3)計算ソフト ・・・ 電気パルスを計測し、平均値を出してSv/hに変換する。
(4)液晶表示 ・・・ 計算ソフトで計算した結果を表示する
となります。

以下は推測になりますが、上記のブロックのうち、(2)~(4)の部分は、測定範囲0.05μSv/h以上に対応しているが、(1)が0.14μSv/h以上となっているものと思われます。
この場合、製品の仕様表記としては、本来なら「0.14μSv/h以上」と表示すべきです。

私の場合、そもそも購入時に都内での線量測定を目的としていないので、上記の事柄は特に問題にはなりませんが、首都圏や首都圏以西などの線量がそもそも低い地域において、上記のことを知らないで使ってしまうと、測定値がかなり高く出てしまうので、注意が必要です。

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